みなさん、ご無沙汰していますが、元気で練習してくださっていることと思います。
日本は年末年始ムードが高まっていることでしょうね。
みなさんが、投稿してくださる高崎シャラの写真などを見て
こちらでの生活の励みにさせていただいています。
こちらでは、宗教が異なるため、クリスマスも年末年始もありませんが
世界中から集まっている外国人の練習生と、小さなランチ会をしたり
日本からの練習生と、少し持参したお蕎麦やお餅を食べたりするつもりでいます。
さて、今回のブログでは、SYCシャラの雰囲気をシェアしたいと思います。
今年は、アシュタンガヨガの練習生にとって、初めて迎える歴史的なシーズンです。
ご存知のように、私たちのシャラート先生が亡くなられたからです。
シャラのシーズンが始まる直前でしたので、
シャラで練習できるのかすら分からない状態で、
私の心はポッカリと穴が空いたようでした。
出国直前に、以下のような連絡が入りました。
『シャラは開けますが、指導者なしの完全なセルフプラクティスです。
シャラート先生からもらったアーサナまでを練習することを厳守すること、
授業料は変わりません』
世界中の多くの生徒が悩みんだことでしょう。
私も同じひとりでしたが、
「とにかく飛行機に乗ろう。あのシャラへ行って追悼練習をしよう」という思いで旅立ちました。
生徒たちの多くは、マイソールのゴクラムというエリアに部屋を借りて住んでいます。
私は、夜中に到着し、その日の早朝、シャラの対面レジスト(登録)に向かいました。
例年ですと、生徒の証明書が発行されるまでに5時間待ったものですが、
今回は、待っている生徒もほとんどおらず、1時間もかからなかった。
あまりに違う様子に動揺しました。
また、シャラート先生が座って指導される場所に遺影と共に
先生が好きだったというスカーフがかけられていました。
スタートしてしばらくは、何となく重苦しい雰囲気で、
懐かしい仲間に会っても大きな声で挨拶することも憚れました。
多くの生徒が今シーズンはキャンセルしたため、町中も静かです。
こちらも例年であれば、一歩外に出るだけで、誰かと会って挨拶するのですが閑散としている。
3輪バイクの運転手、馴染みのレストラン、カフェ、果物屋さんもみんな沈んだ顔をしています。
馴染みの店主さんは、シャラート先生へのお悔やみの言葉を述べてくれました。
『私たちは、大きな存在を失ってしまったのだ』そう強く感じました。
練習は、人数が少ないため、なんとたった1回転。
例年は、4時半から4回転くらいは入れ替えがあるのです。
4時半から時初めての生徒も、上級生も、
同じエリアで一気に練習をスタートさせ、ほぼ同じ時刻に終わって帰宅します。
【スケジュール】
2:30 起床
3:40 バイクで出発
4:30 練習スタート〜6:40
7:00 チャンティング(詠唱)クラス
8:00 シャワー・洗濯・朝食
9:30 オンラインなど勉強
13:00 昼食
16:00 散歩
19:30 就寝
当初は、例年行われていた「チャンティング(詠唱)」も
「ヨガ哲学」のクラスもなしとのことでしたが、
シャラがオープンしてから少しづつアナウンスがあり、
これらはオンラインなどで受講することができています。
私の場合、例年の苦行であった「寒さの中で練習前の2時間待ち」がないので体は楽です。
練習も日本でいるより少ないので、ゆっくりと呼吸しながら練習しても終了が6時半。
あとはフリータイムなので、ゆっくりさせていただいています。
そろそろ1ヶ月が経ちますが、
「このシャラでこんなにリラックスして練習できるなんて」というのが感想です。
先生の厳しい目もない。生徒達の切磋琢磨するような気分もない、
自分を追い込んで、体が痛くなったりもしない。
良い意味で捉えれば、本当に穏やかで、静かな、
いつもの自宅練習と変わらない練習をしています。
初日から、オープニングマントラは、シャラート先生の奥様であるシュルティ先生、
娘さんのシュラダさんが交代で行っています。
息子さんも、若いのに葬儀の時には表に立ち、シャラでも練習していました。
シャラ全体が、和やかで穏やかです。
たまに、奥様が涙する場面があったり、
実のところ、私も先生の遺影が目に入ると、いまだに涙が出てしまうので
後ろの方でこっそり練習しています。
こんなことになって初めて気づくのは
「私の中で、人生で、こんなにアシュタンガヨガが大きな存在になっていたなんて!」
早朝の練習をするために、全てが変わってしまったのです。
起床時間、就寝時間、食事内容から、生活のすべて。
好きだった趣味や、お酒やナイトライフ、食べたいもの・家族旅行を我慢したりと、
私の優先順位が、アシュタンガヨガ・ファーストになっていたことに気づきました。
家族にはとても迷惑をかけていたことでしょう。
この喪失感は、今も消えません。
どうにもならない。
そのうち、時が解決してくれるのでしょうか。
私の練習は1月末まで続きますが、生徒達は自国に帰国する者も多く、
その報告を聞く度に、また寂しくなります。
しかし、来シーズンはまた、状況は変わるでしょう。
ルールも、色々なことが変わるでしょう。
それでも、アシュタンガヨガの伝統は変わる事なく伝えられるでしょう。
そのことを強く希望します。
今までもそうでしたが、
『これが最後の呼吸・練習かもしれない』と、さらに思いを強めて練習しています。
何が起こってもおかしくない、この世の中に生きていて、
せめてこのアシュタンガヨガとは誠実に向き合い、
悔いのない練習を毎回したいと思っています。
思考の切り替えが遅い私はまだ、混乱の中におり、何かと追いつきませんが、
少しづつ言葉にして、この歴史的な渦中をみなさんにお伝えできるよう過ごしていきます。
みなさんが、”聖なる一呼吸”を高崎シャラで楽しんでくれていますように。
愛を込めて
masami